困ってから調べるの、遅いです。
マットレスを買い替える前に、床と湿気を見る(大家が見ている順番)(イメージ)45cm建築基準法施行令第二十二条が定める、最下階の居室の床が木造である場合の床の高さ(直下の地面から床の上面まで)。同じ条文は、外壁の床下部分に壁の長さ5m以下ごとに面積300cm2以上の換気孔を設けることも定めている。国のルールは、寝室の床を「湿気が入ってくる面」として設計している
眠り編

マットレスを買い替える前に、床と湿気を見る(大家が見ている順番)

先回り大家最終確認 2026-08-27

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建築基準法施行令の第二十二条には、「居室の床の高さ及び防湿方法」という条名が付いています。中身は2つだけです。最下階の居室の床が木造である場合、床の高さは直下の地面から床の上面まで45cm以上にすること。そして外壁の床下部分には、壁の長さ5m以下ごとに、面積300cm<sup>2</sup>以上の換気孔を設けること(*1)。

寝具の話は、一行も出てきません。国のルールは、寝室の床を「湿気が入ってくる面」として設計しています。

だから、マットレスの寝心地に不満があるとき、あるいは敷布団の裏に黒い点を見つけたとき、先に見るのは床です。 順番を逆にすると、新しい寝具が同じ場所で同じことになります。

1. 国のルールは、寝具ではなく床から書かれている

第二十二条には続きがあります。床下をコンクリートやたたきなどで覆う場合は、この45cmと換気孔の規定は適用されません(*1)。つまり、いわゆるベタ基礎で床下が全面コンクリートの家と、床下が土のままの家では、湿気の入り方の前提そのものが違うということです。

自分の家がどちらなのかは、床下点検口を開けるか、外周を回って床下の換気孔(または基礎の通気部分)があるかどうかを見れば、だいたい分かります。中古の戸建てを買う前なら、内見のときに見るべきものの1つです。

なお、この条文が掛かるのは最下階の居室の床です。2階の寝室そのものには適用されません。ただし床下から上がってくる湿気は家全体の話なので、寝室が2階でも、見る順番は変わりません。

もう1つ、寝室に直接効いている条文があります。建築基準法施行令第二十条の八です。居室には、住宅の場合で換気回数0.5回/h以上の機械換気設備を設けることが原則として義務づけられています(*2)。これはシックハウス対策として導入されたもので、平成15年(2003年)7月1日以降に着工された建築物に適用されています(*3)。

ここから実務的な結論が1つ出ます。寝室の壁にある給気口(丸い蓋のようなもの)は、法律が付けさせたものです。 冬に寒いからと塞いだままにすると、1時間で部屋の空気の半分を入れ替える前提で作られた設計が崩れます。湿気は、人が寝ているあいだにいちばん増えます。

2. 湿気は「多いか少ないか」ではなく「どこで冷えるか」

結露は、空気の中の水蒸気が冷たい面に触れて、その面の温度が露点を下回ったときに起きます。部屋全体が湿っているかどうかより、どこか1か所だけ冷たい面があるかどうかが効きます。

寝室で、その「冷たい面」になりやすい場所は決まっています。窓ガラス、外壁に接した壁、押入れの奥、そして床です。

マットレスや敷布団を床に直に置くと、そこは毎晩、体温と汗を含んだ空気が、冷たい面に接したまま数時間ふさがれる場所になります。寝具は湿気を吸う側であると同時に、湿気を作る側でもあります。「良いマットレスに替えたのに裏が黒くなった」が起きるのは、寝具の性能の問題ではなく、置かれた面の問題であることが多い。

数字の目安も、国の側に1つだけあります。建築物における衛生的環境の確保に関する法律の施行令は、空気調和設備を設けている建築物の居室について、温度18℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下という管理基準を定めています(*4)。

ただし、これは特定建築物(事務所等)に課された基準で、住宅の義務ではありません。 家の寝室がこの範囲を外れたからといって違法ということはない。それでも、湿度計を買ったときに「何を見ればいいか」の物差しにはなります。国が衛生的だと考えている幅の上限が70%だ、という位置が分かるからです。

冬の温度側については、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が、WHOの住環境ガイドラインの冬季室温18℃以上という推奨を紹介しています(*5)。寒い部屋を暖めると、同じ水蒸気量でも相対湿度は下がります。暖房と換気は、結露に対しては同じ方向を向いた対策です。

3. 私が見ている順番(大家の一次経験)

私は千葉県で戸建てを3棟、貸しています。設備が壊れれば、直すのは大家の負担です。だから「家はどこから壊れるか」を、感想ではなく請求書で知っています。

この1年で払ったものは、ほとんどが水まわりでした(*6)。

  • 2026年3月16日 トイレのボールタップ・フロート交換 19,800円(税込・業者請求書)
  • 2026年4月 同じトイレの本体交換 本体43,500円(通販購入・領収書)+工事24,200円(税込・業者請求書)
  • 2025年6月 屋根修繕
  • 2025年9月 風呂の床の修繕
  • 2026年6月 給湯器交換、および雨漏り修理

金額を書いたものは、請求書か領収書が手元にあるものです。金額を書いていないものは、日付と項目だけが言えるという意味で、そこは推測で埋めません。

この経験から、私は寝室の湿気を次の順番で見ます。

  1. 水の入口 … 雨漏り、給排水の漏れ。屋根と外壁と配管。ここが止まっていないうちは、下の3つを何度やっても戻ります。
  2. 床下と基礎 … 床下が土か、コンクリートか。換気孔が物や植栽で塞がれていないか。
  3. 換気の経路 … 給気口が塞がれていないか。24時間換気のスイッチが切られていないか。押入れとベッド下が壁ぎわまで詰まっていないか。
  4. 最後に、寝具の置き方

金額の大きい順でもあります。1と2を放置したまま4だけを替えるのは、いちばん高い買い物をいちばん効かない場所にする、ということです。

4. 賃貸なら、国の文書が「先に言え」と書いている

借りている家で寝具の裏にカビを見つけたとき、いちばん気になるのは「これは自分の負担になるのか」でしょう。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の別表1には、「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」という項目があります。区分は賃借人の負担の側です。ただし、その「考え方」の欄には、こう書かれています(*7)。

結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる

国のガイドラインは、結露そのものは建物側の問題であることが多い、と先に認めています。 借りている側が負担に回るのは、そこに「通知しない」と「拭かない」が重なったときです。

だから、やることは2つに絞れます。写真を撮って、貸主か管理会社に伝える。そして拭く。 これは我慢や遠慮の問題ではなく、ガイドラインが負担の分かれ目として書いている行動そのものです。

同じ構造の話は、寝室の家具を固定するときの壁の穴でも起きます(寝室に置いていいものと、置いてはいけないもの)。賃貸で困ったときに国の文書を見にいくと、たいてい「先に貸主に言え」と書いてある、というのが、貸す側から見た正直な感想です。

5. それでも寝具を替えるなら、順番がある

床を見たうえで、なお寝具を替えるなら、順番はこうです。

床 → 床と寝具のあいだ → 寝具本体。

真ん中が抜けているケースが、いちばん多い。床と寝具のあいだに空気の層があるかどうかで、同じ寝具でも裏側の状態は変わります。すのこでも、脚のあるベッドでも、除湿用の敷きものでも、目的は1つで「毎晩ふさがれる面を作らない」ことです。

置き方だけでできることも3つあります。

  • 敷きっぱなしにしない。毎日立てる必要はありません。週に一度、床と寝具のあいだを開けて乾かす日を決めるだけで違います。
  • ベッド下を収納で埋めない。空気が通らなくなり、地震のときは飛び出す物が増えます。
  • 窓際を避ける。睡眠ガイド2023は、騒音や光が気になる場合の対応として「寝床の位置をできるだけ窓から遠くに移動させる」を挙げています(*5)。窓は寝室でいちばん冷える面でもあります。音・光・結露の3つが、同じ答えに着地します。

具体的な商品については、まだ何も薦めません。このサイトで物を薦めるのは、金額と根拠を出せるようになってからです。

今日の1歩

今夜、寝る前にマットレス(または敷布団)を一度だけめくって、床に手を置いてください。

  • 冷たいだけ … 床と寝具のあいだに空気の層を作る。買うのはそのあとで間に合います。
  • 湿っている … 換気の経路を先に見る。給気口、24時間換気、ベッド下の詰まり。賃貸なら、この時点で貸主か管理会社に伝えておく。
  • 色が変わっている・においがある … これは寝具の話ではなく、床の話です。持ち家なら床下、賃貸なら写真を撮って通知。

マットレスを買い替えるかどうかの判断は、この3つのどれだったかが分かってからで遅くありません。先に見るほうが、安く済みます。


この記事の道具箱

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  • 温湿度計(デジタル)寝具を替える前に、寝室の湿度を数字で見る。物差しは本文2節の「相対湿度70%」。窓ぎわや床の上ではなく、寝ている高さに置く楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
  • 除湿シート(布団・マットレスの下に敷く)床と寝具のあいだに、湿気を逃がす層を1枚つくる。本文5節の「真ん中」にあたるもの。敷いたままにせず、定期的に干す楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
  • すのこ(床置き用・折りたたみ)直置きをやめて、寝具の下に空気の通り道をつくる。ベッドを置けない部屋の選択肢。壁ぎわまで詰めず、押入れやベッド下と同じく壁から少し離す楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す

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出典

  1. 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第二十二条「居室の床の高さ及び防湿方法」=最下階の居室の床が木造である場合、一 床の高さは直下の地面から床の上面まで45cm以上、二 外壁の床下部分には壁の長さ5m以下ごとに面積300cm<sup>2</sup>以上の換気孔を設けねずみの侵入を防ぐための設備をすること。ただし床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合等はこの限りでない。https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
  2. 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第二十条の八「居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準」=必要有効換気量 Vr=nAh、住宅等の居室にあっては n=0.5(その他の居室は0.3)。https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
  3. 国土交通省「建築基準法に基づくシックハウス対策について」=シックハウス対策に係る法令等は平成15年(2003年)7月1日に施行。規制は同年7月1日以降に着工された建築物(同年6月以前に確認済証の交付を受けたものを含む)に適用され、同年6月以前に着工されたものには適用されていない。居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付け(令第20条の8)。https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000043.html
  4. 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令(昭和45年政令第304号)第二条「建築物環境衛生管理基準」=空気調和設備を設けている場合の居室の基準として、温度 18度以上28度以下、相対湿度 40パーセント以上70パーセント以下、気流 0.5メートル毎秒以下ほか。本基準は同法の特定建築物(事務所等)に対するもので、住宅に課された義務ではない。 https://laws.e-gov.go.jp/law/345CO0000000304
  5. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月・健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会)=「良質な睡眠のための環境づくりについて」の温度・音・光のQ&A。WHO住環境ガイドラインの冬季室温18℃以上の推奨、および「カーテンを防音や遮光の機能があるものに取り換え、寝床の位置をできるだけ窓から遠くに移動させる」。https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  6. 自宅(千葉県の戸建て・賃貸中)の修繕実額。2025年6月=屋根修繕、2025年9月=風呂床修繕、2026年3月16日=トイレのボールタップ・フロート交換19,800円(税込・業者請求書)、2026年4月=同トイレの本体交換 本体43,500円(通販購入・領収書)+工事24,200円(税込・業者請求書)、2026年6月=給湯器交換および雨漏り修理。物件の所在地・業者名は非公開。
  7. 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)別表1 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表 壁・天井(クロスなど)「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」=区分B(賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの)。https://www.mlit.go.jp/common/000991391.pdf

※本記事は公的資料の読み方をまとめたものです。個別の建物の湿気・結露・カビの原因の判断、および賃貸借契約の原状回復の取り扱いは、専門家または契約の相手方にご確認ください。カビによる体調の不調や、睡眠に関する不調が続く場合は医療機関にご相談ください。