困ってから調べるの、遅いです。
被災者生活再建支援金は「家」ではなく「住んでいた世帯」に出る(上限300万円、支給実績の平均は約176万円です)(イメージ)300万円全壊して建て直す世帯でも、支援金はここが上限(被災者生活再建支援法 第3条)
住まい編

被災者生活再建支援金は「家」ではなく「住んでいた世帯」に出る(上限300万円、支給実績の平均は約176万円です)

先回り大家最終確認 2026-09-13

被災者生活再建支援金の上限は300万円です。住宅が全壊し、家を建て直すか買う世帯の額です(*1)。

そして、制度が始まってから令和8年6月末までに支給された総額は約5,674億円、受け取った世帯は32万3,138世帯。割ると1世帯あたり約176万円です(*2)。「全壊なら300万円」は上限であって、平均ではありません。

もう1つ、条文を読むと大家として最初に引っかかる言葉があります。支援金の対象は「その居住する住宅」が被害を受けた世帯です(*3)。支援金は家の持ち主に出るのではなく、そこに住んでいた世帯に出ます。

誰に、何に対して、いくら出るのか。条文の順に見ます。

出る額は「壊れ方」と「建て直し方」の足し算です

支援金は2つの合計です。住宅の壊れ方で決まる基礎支援金と、住まいをどう建て直すかで決まる加算支援金(*1)。

壊れ方(基礎支援金)建設・購入補修賃借(公営住宅を除く)
全壊/解体/長期避難(100万円)300万円200万円150万円
大規模半壊(50万円)250万円150万円100万円
中規模半壊(0円)100万円50万円25万円

表の金額は基礎と加算を足した合計です。世帯が1人のときは、どの欄も4分の3になります(*4)。全壊して建て直す1人暮らしなら225万円です。

加算は、複数に当てはまってもいちばん高い1つだけです(*5)。いったん賃貸に移ってから家を建てても、150万円と300万円を足すことはありません。

半壊と準半壊には、この法律からは出ません

表にない区分があります。半壊(損害割合20%以上30%未満)と準半壊(10%以上20%未満)です。

法律が対象にしているのは、全壊・解体・長期避難・大規模半壊・中規模半壊の5つだけです(*3)。中規模半壊は令和2年の法改正で加わった区分で(*6)、罹災証明では損害割合30%台にあたります(*7)。20%台の「半壊」は、名前に「半壊」と入っていても対象外です。

罹災証明の区分が1つ違うだけで、出る額が0円か25万円以上かに分かれます。区分の境目が、そのまま金額の境目になっています。区分の中身は地震保険の区分との違いに表でまとめました。

半壊でも「解体」すれば、全壊と同じ扱いになります

見落とされやすいのが、2つ目の区分「解体」です。条文はこう書いています(*3)。

住宅が半壊し、又はその居住する住宅の敷地に被害が生じ、当該住宅の倒壊による危険を防止するため必要があること、当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額となることその他これらに準ずるやむを得ない事由により、当該住宅を解体し、又は解体されるに至った世帯

つまり、建物が半壊どまりでも、敷地が崩れて危なくて住めず、やむを得ず解体したなら、基礎支援金は全壊と同じ100万円です。

建物ではなく敷地の被害が入口になっている、というのが大家として読むと大きい点です。築30年の擁壁や土砂災害警戒区域の話は、崩れたときに家が直せるかどうかだけでなく、この条文に当てはまるかどうかの話でもあります。

貸している家が全壊しても、大家には出ません

ここで冒頭の言葉に戻ります。支援金の対象は「その居住する住宅」が被害を受けた世帯で、支給するのは都道府県、受け取るのはその世帯の世帯主です(*3)(*8)。

条文どおりに読むと、次のように分かれます。

  • 自分が住んでいる家 → 自分の世帯が対象です。
  • 貸している家 → 住んでいた入居者の世帯が対象です。持ち主の大家は、その家については被災世帯になりません。
  • 誰も住んでいない空き家・別荘 → 住んでいた世帯がないので、この法律の対象になりません。

借りて住んでいる人は「自分の家じゃないから関係ない」と思いがちですが、逆です。全壊した借家に住んでいた世帯は基礎支援金100万円の対象で、別の賃貸に移れば加算50万円が付きます(*1)。

大家の側から見ると、貸家が壊れたときに建て直す費用を、この制度はどこからも出してくれない、ということです。貸している家の備えは、地震保険を含めて、持ち主が自分で組むしかありません。

「町で10世帯」が全壊しないと、法律そのものが動きません

もう1つの条件は、個人の被害ではなく災害の規模です。政令は、たとえば「十以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した市町村」の災害を対象にしています(*9)。ほかに、都道府県で100世帯以上が全壊した災害や、県内に基準を満たした市町村がある場合の人口10万未満の市町村で5世帯以上、といった基準があります。

裏返すと、自分の家が全壊しても、その市町村で全壊が数軒しかない局地的な災害なら、国の支援法は適用されないことがあります。

その穴を埋めるのが、都道府県の独自制度です。内閣府の一覧(令和8年5月1日現在)では41都道府県が独自の支援制度を持っています(*10)。千葉県には「千葉県被災者生活再建支援事業」があり、支援法が適用されない市町村を対象に、県内で10世帯以上の住宅が全壊した災害などで、全壊・解体に最大300万円、大規模半壊に250万円、中規模半壊に100万円と、国の制度に近い額が決められています(*10)。住んでいる都道府県の制度名を、1つだけ先に知っておくと、いざというとき「国の対象外」と言われた時点で止まらずに済みます。

申請は罹災証明から始まり、期限は2本あります

支援金は申請しないと出ません(*8)。窓口は市町村で、添付するのは基礎支援金なら罹災証明書と住民票など、加算支援金なら住宅の購入や賃借の契約書などです(*1)。

期限は2本に分かれています(*11)。

  • 基礎支援金=災害が起きた日から13か月以内
  • 加算支援金=災害が起きた日から37か月以内

2つを同時に出す必要はありません。先に基礎支援金だけ申請して、建て直し方が決まってから加算を申請できます(*1)。やむを得ない事情があるときは、都道府県が期間を延ばせる規定もあります(*11)。

罹災証明は申請しないと出てこない紙です。取りに行く順番は地震のあと、眠れる家に戻すまでの順番にまとめました。

受け取ったお金は、差し押さえられず、税金もかかりません

最後に、条文に明記されている2つです。

  • 支援金を受ける権利は譲渡・担保・差押えができず、受け取った金銭も差し押さえることができません(*12)。
  • 租税その他の公課は、支援金を標準として課すことができません(*13)。

また、現行の条文には、地震保険の保険金を受け取った世帯を減らしたり外したりする規定も、所得や年齢の要件もありません(*1)(*3)。保険と支援金は、別々に受け取れる前提で組まれています。

今日やること(3行)

  1. 自分に関係する家を「住んでいる家」「貸している家」「空き家」に分ける。 支援金が関係するのは、住んでいる世帯の分だけです。
  2. 地震保険の証券の金額に、この記事の表から自分の欄の支援金を足してみる。 それが、国と保険から入る金額の上限の目安です。
  3. 住んでいる都道府県の名前と「被災者生活再建支援」で1回だけ検索して、独自制度の名前を控える。 国の支援法が適用されないときの入口になります。

この記事は、法律と政令の条文、内閣府の公表資料を並べたものです。実際に対象になるか、いくら出るかは、災害ごとの適用の有無と、市町村・都道府県の判断によります。申請の際は、必ずお住まいの市町村の窓口で確かめてください。

出典

  • *1 内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」=対象世帯5区分・基礎支援金と加算支援金の額の表・申請窓口(市町村)・添付書面(基礎=罹災証明書、住民票等/加算=契約書等)・「基礎支援金と加算支援金を同時に申請する必要はなく…住宅の再建方法が決まってから加算支援金の申請をすることができる」 https://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/pdf/140612gaiyou.pdf
  • *2 内閣府「被災者生活再建支援制度に係る支援金の支給について(令和8年6月30日現在)」=制度開始時からの総合計 既支給世帯数323,138・支援金支給額567,394,367千円(1世帯あたりの額は当方の割り算。申請期間中の災害を含む単純平均) https://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/pdf/shienkin_shikyujoukyou_20260630.pdf
  • *3 被災者生活再建支援法 第2条第2号イ〜ホ(被災世帯の定義。いずれも「その居住する住宅」が被害を受けた世帯)(e-Gov法令検索・法令ID 410AC0100000066) https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0100000066
  • *4 同法 第3条第7項(単数世帯は「百万円」を「七十五万円」、「二百万円」を「百五十万円」等と読み替える=4分の3)
  • *5 同法 第3条第3項・第6項(同一の自然災害で加算の各号の2以上に該当するときは、最も高い額)
  • *6 内閣府 防災情報のページ「被災者生活再建支援法」=「被災者生活再建支援法の一部を改正する法律の施行について(府政防第1746号)(令和2年12月4日)」 https://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/shiensya.html
  • *7 内閣府「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(令和8年6月)総則6=中規模半壊 損害割合30%以上40%未満/半壊20%以上30%未満/準半壊10%以上20%未満 https://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/r605shishin_all.pdf
  • *8 同法 第3条第1項=「都道府県は、当該都道府県の区域内において被災世帯となった世帯の世帯主に対し、当該世帯主の申請に基づき、被災者生活再建支援金…の支給を行うものとする」
  • *9 被災者生活再建支援法施行令 第1条第1号〜第6号(第2号=「自然災害により十以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した市町村の区域に係る当該自然災害」/第3号=都道府県で百以上/第4号=人口十万未満の市町村で五以上 等)(法令ID 410CO0000000361) https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000361
  • *10 内閣府「都道府県独自の被災者生活再建支援制度」(令和8年5月1日現在)=「41都道府県において独自支援制度を創設済み」/千葉県被災者生活再建支援事業(対象=支援法適用外の市町村・県内で10世帯以上の住宅が全壊した災害 等/最大支給額 全壊300万円・解体300万円・大規模半壊250万円・中規模半壊100万円)。詳しい要件は千葉県の要綱による https://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/pdf/dokujishien_6.pdf
  • *11 同施行令 第4条第1項(基礎支援金=自然災害が発生した日から起算して13月を経過する日まで)・第2項(加算支援金=37月)・第4項(やむを得ない事情があるときは都道府県が期間を延長できる)
  • *12 同法 第20条の2=「支援金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」「支援金として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない」
  • *13 同法 第21条=「租税その他の公課は、支援金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない」