6〜7割モバイルバッテリーの表示容量のうち、スマホへ実際に送れる量の目安(MCPC)モバイルバッテリーは何mAhで買う(使えるのは表示の6〜7割=10,000mAhで5,000mAhのスマホは約1回)
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東京都の備蓄リーフレットにある4人家族の例では、生活用品の欄に「携帯電話 充電器」が並んでいます。数は「適宜」です(*1)。懐中電灯は2灯、ヘッドライトは4個と数で書いてあるのに、ここだけ数がありません。
つまり、何mAhを何個持つかは、自分の家で決めるしかありません。
その前に、ひとつクイズです。業界団体のモバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が、こう問いかけています。容量10,000mAhのモバイルバッテリーは、2,500mAhの機器を何回充電できるか。 割り算すると4回です。MCPCの答えは「2.4回くらい」です(*2)。
表示のmAhは、電池の「中」にある量です
MCPCの説明では、モバイルバッテリーには容量の数字が2つ書かれています(*2)。
- 電池容量=中に入っているリチウムイオン電池の容量。電圧はふつう3.7V。
- 定格容量=USBの口から5.0Vで取り出せる容量。
箱に大きく書かれている「10,000mAh」は、たいてい電池容量のほうです。USBから出すときは電圧を上げるので、それだけで理論上は74%(3.7÷5.0)に減ります。さらに、変換の回路や安全回路が出す熱でも減ります。実際に送れる量は、電池容量のおよそ60〜70%です(*2)。
当方はこれを「表示の6割」と覚えています。少なめに見ておけば、停電の夜に足りなくなることはありません。
何mAhで買うかは、この式で決めます
MCPCの式をそのまま使います(*2)。
必要なmAh = スマホの電池容量(mAh)× 満充電したい回数 ÷ 0.6
| スマホの電池容量 | 1回分 | 2回分 | 3回分 |
|---|---|---|---|
| 4,000mAh | 約6,700mAh | 約13,300mAh | 20,000mAh |
| 5,000mAh | 約8,300mAh | 約16,700mAh | 25,000mAh |
10,000mAhのモバイルバッテリーで、5,000mAhのスマホは1回と少しです。「2回はいける」と思って買うと、2日目の夜に足りなくなります。
自分のスマホの電池容量は、メーカーの仕様表で確かめてください。調べる時間がなければ、当方は5,000mAhで仮置きして計算します。大きめに置いておけば、外れても足りる側に外れます。
回数は、停電が何日続くかで決まります。2019年の台風15号のとき、千葉では停電が直る見通しが何度も書き換わりました(千葉で停電が2週間続いたとき、家で何が止まったか)。最初の3日を、家族それぞれのスマホ1日1回で数えておくのが当方のすすめです。全部をモバイルバッテリーで賄うと大きな数になるので、3日目以降はポータブル電源や車の電源と分け合う前提で考えます。
発火の数字も見ておきます
モバイルバッテリーは、選び方を間違えると「備え」が火元になります。
製品評価技術基盤機構(NITE)の2026年7月の発表では、2021〜2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件。製品別で最も多いのがモバイルバッテリーで506件、そのうち488件が火災でした。年別では2021年の51件から、2025年は192件に増えています(*3)。
506件を状況別に見ると、充電中が297件、充電も使用もしていなかった時が129件、自動車の中が49件です(*3)。しまってあるだけでも、事故は起きています。
東京消防庁の管内でも、令和6年中の住宅のリチウムイオン電池関連火災115件のうち、モバイルバッテリーが35件で最多。約6割が充電中に起きています。事例のひとつは、布団の上で充電していたモバイルバッテリーから火が出たものでした(*4)。寝室での充電の置き場所は、寝室に置いていいもの、置いてはいけないものと同じ考え方です。燃えやすい物の上で充電しない。
PSEマークは「マーク+会社名」で見ます
モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象です。平成31年(2019年)2月1日以降、PSEマークのないモバイルバッテリーの販売は禁止されています(*2)。
NITEは、マークがあるかだけでなく、マークの近くに製造・輸入事業者の名前があるかまで確かめるよう書いています(*3)。あわせて、買う前にリコール情報を見ること。リチウムイオン電池搭載製品では、リコール対象の製品による事故が5年間で453件ありました(*3)。
なお、同じ売り場に並ぶポータブル電源は、交流(コンセントと同じ電気)を出せるため、経済産業省の整理ではモバイルバッテリーとは扱われません(*5)。選び方は別物です。
買う直前に見る5つ(この順に見る)
- 定格容量(5V)が書いてあるか。 書いてあれば、その数字でスマホの電池容量を割る。書いていなければ、大きな数字に0.6を掛ける(*2)。
- PSEマークと、その近くの会社名。 会社名が無い、連絡先がわからない製品は外す(*3)。
- リコールの対象になっていないか。 NITEの「SAFE-Lite」や消費者庁のリコール情報サイトで、製品名を引く(*3)。
- スマホにつなぐ口とケーブル。 家族のスマホの口(USB-Cなど)と合っているか。ケーブルが付いてこないなら、一緒に買う。
- 何台を何日で数えたか。 上の表で、家族の人数×3日を割り出してから台数を決める。
最後に1つ。乾電池でスマホに給電できる充電器を、1台混ぜておくのが当方のやり方です。停電が長引けば、モバイルバッテリーそのものを充電できなくなります。明かりで「乾電池と充電式を混ぜる」と書いたのと同じ理由です(停電の明かりは「何個」で買う)。
今日やること(3行)
- 家族のスマホの電池容量(mAh)を仕様表で調べて、紙に書く。 わからなければ5,000mAhで仮置き。
- 家にあるモバイルバッテリーの容量に0.6を掛けて、何回分かを出す。 足りなければ、上の表で差を買う。
- 充電する場所を決める。 布団やソファの上ではなく、燃えにくい物の上で、そばにいる時間に。
私が千葉県で貸している戸建て3棟の修繕は、この1年で6件。全部、壊れてから業者を呼んだものです。モバイルバッテリーも、残りが足りないと気づくのは停電の夜です。そのとき数字を見ても、もう買いに行けません。
一式をまとめて揃える順番は防災セットは既製品か自作かに書いています。
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- モバイルバッテリー(定格容量とPSEマーク・会社名の表示があるもの)本文の式=スマホの電池容量×回数÷0.6。10,000mAhで5,000mAhのスマホは1回と少し(MCPC)。家族の人数×3日で台数を決める。買う前にPSEマークの近くの会社名とリコール情報を確かめる(NITE)。布団の上で充電しない楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
- 乾電池式のUSB充電器(単3でスマホに給電できるもの)停電が長引いてモバイルバッテリーを充電できなくなったときの逃げ道。家の電池を単3にそろえて1台混ぜる。使える電池の種類と本数を説明書で確かめる。停電用の乾電池と一緒にしまう楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
- 手回し充電式のラジオ東京都の4人家族の備蓄例にある「手回し充電式などのラジオ」。スマホの電池を、情報を取るためだけに使わずに済む。買ったら一度回して、家の中で地元の局が入るかを確かめる楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
出典
- *1 東京都「『日常備蓄』を進めましょう」リーフレット(令和7年10月版)=「夫婦と乳幼児、高齢女性1人の4人家族で戸建て住宅にお住まいの例」「※おおよそ3日程度の目安量」。生活用品の欄に「携帯電話 充電器 適宜」「乾電池 適宜」「手回し充電式などのラジオ」。https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/kyojyo/1001855/1030036.html (PDF https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/common/bichiku/lief_r7_10.pdf )
- *2 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)「モバイルバッテリーの容量について」チラシ(2024年3月27日版)=「容量10,000mAhのモバイルバッテリーは2,500mAhのモバイル機器を何回充電できる?」「2.4回くらい充電できる」「(容量10,000mAh×0.6)÷2,500mAh=2.4」。電池容量(一般的に平均電圧3.7V)と定格容量(USB出力端子から5.0Vで出力可能な容量値)の2つの記載、理論上74%(=3.7V/5.0V)、「実際に供給可能な電力(=定格容量)は、電池容量のおよそ60%〜70%」。「平成31年2月1日以降は、PSEマークのないモバイルバッテリーの販売は禁止されています」。https://www.mcpc-jp.org/pdf/mobairubatteri_20240327.pdf
- *3 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を ~『リチウムイオン電池搭載製品』は3つのCで事故を防ぎましょう!~」(2026年7月15日)=2021〜2025年の5年間のリチウムイオン電池搭載製品の事故2,140件、製品別でモバイルバッテリーが最多。表1=モバイルバッテリー 2021年51件・2022年56件・2023年82件・2024年125件・2025年192件・総計506件(うち火災件数488)。表4=充電中297件・使用中49件・充電中や使用中ではない129件、うち自動車内の事故49件。リコール対象製品による事故は5年間で453件。PSEマークの近くに製造・輸入事業者名等が表示されているかも確認する。https://www.nite.go.jp/data/000161880.pdf
- *4 東京消防庁「住宅でも注意!リチウムイオン電池関連火災」(2025年12月9日更新)=令和6年中のリチウムイオン電池関連火災(住宅)115件、製品用途別でモバイルバッテリー35件が最多(速報値)。約6割が充電中に発生。火災事例「布団の上で充電していたモバイルバッテリーから火が出ている」。https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kasai/lithium_house.html
- *5 経済産業省「モバイルバッテリーに関するFAQ」=「Q.4 交流100Vも出力できる、いわゆるポータブル電源の扱いは? A.4 蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流が出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、非対象。」当サイトポータブル電源は何Wh要るかで確認済みの記載を再掲。
本記事は公的資料と業界団体の資料の一般的な解説です。実際に充電できる回数は、スマホの機種・使い方・気温・電池の劣化で変わります。医療機器の電源が必要な家庭は、かかりつけの医療機関や機器の販売元に停電時の対応を確認してください。