9個東京都の備蓄例(4人家族・3日分)の明かり。懐中電灯2・LEDランタン3・ヘッドライト4停電の明かりは「何個」で買う(4人家族3日分=懐中電灯2・LEDランタン3・ヘッドライト4)
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東京都の備蓄リーフレットに、夫婦と乳幼児、高齢女性の4人家族が戸建てに住んでいる例があります。約3日分の目安として、明かりの欄にはこう並んでいます。懐中電灯2灯、LEDランタン最低3台、ヘッドライト4個、それに乾電池を適宜(*1)。
合わせて9個です。
内閣府の世論調査では、大地震に備えて「停電時に作動する足元灯や懐中電灯などを準備している」人は51.3%で、対策の第1位でした(*2)。半分の家には、何かしらの明かりがあります。ただ、都の例と並べると、1本で止まっている家が多いはずです。明かりは「あるか、ないか」ではなく、「何個あるか」で買います。
3種類は、照らす相手が違います
都の例が3種類に分けているのは、使う場面が違うからです。当方の読み方で並べると、こうなります。
- 懐中電灯=歩く・探すための明かり。 光がまっすぐ一方向に出ます。廊下を歩く、棚の奥のブレーカーを見る、外の様子を見る。都の例は2灯です。
- LEDランタン=部屋を明るくするための明かり。 光が周りに広がり、置いたり吊るしたりして使います。食事をする部屋、トイレ、寝る部屋。都の例は「最低3台」と、ここだけ下限の書き方です。
- ヘッドライト=両手を空けるための明かり。 4人家族で4個、つまり1人1個です。
3種類のうち、人数で数が決まるのはヘッドライトだけです。乳幼児のいる家なら、抱っこ、おむつ替え、授乳。高齢の家族の手を引いてトイレまで歩く。どれも両手が要ります。懐中電灯を口にくわえてやる作業ではありません。
ランタンの3台は、都は理由を書いていません。当方の読みでは、停電の夜に人がいる場所の数です。家族が集まる部屋・トイレ・寝る部屋。戸建てで2階に寝室があるなら、階段も数に入ります。
ろうそくは数に入れません
「明かりならろうそくがある」という家もあると思います。数に入れないでください。
総務省消防庁の消防研究センターは、地震のあとの注意として、明かりや暖をとる目的で、屋内でろうそくなどの裸火は極力使わないよう呼びかけています。理由も具体的です。地震で物が散らかり、ふだん無い場所に燃えやすいものがある。避難生活の疲れで注意が行き届かない。余震のおそれがある。そして、いったん火がつくと、避難も消火もふつうの火災より難しい(*3)。
内閣府も、停電したまま家で過ごすために火を使わざるを得ない場合は、転倒時に燃焼が止まる機能や、落下物に引火しにくい構造のものを選ぶよう書いています(*4)。明かりは火を使わないもので数えるのが基本です。
電源は「乾電池」と「充電式」を混ぜます
最近の防災用ライトは、LEDとリチウムイオン電池を組み合わせた充電式が多く売られています。充電式は電池を買い足さなくていい一方で、注意点がひとつあります。
製品評価技術基盤機構(NITE)が集めた充電式ライトの事故は、2017〜2021年度の5年間で50件。そのうち41件が充電中に起きています。原因がわかった11件のうち7件は、製品に付いてきたものとは別の製品の充電器で充電していました(*5)。スマホの充電器をそのまま差す、が危ないということです。NITEの事故防止のポイントは、付属の充電器(ACアダプター)で充電する、充電中はそばを離れない、近くに燃えやすい物を置かない、の3つが先頭に並んでいます(*5)。
もうひとつの事情は、停電そのものです。停電が長引けば、充電式はいずれ充電できなくなります。2019年の台風15号のとき、停電が直る見通しは「今夜中に」「12日」「13日以降」と出るたびに書き換わり、「2週間以内」という言葉が出たのは5日目の夕方でした。千葉県の検証報告書に、その時系列が残っています(*6)。何日で戻るかは、停電した時点ではわかりません。
だから、当方のすすめは混ぜることです。
- ヘッドライトとランタンのうち、少なくとも1つずつは乾電池式にする。 都の例も乾電池を「適宜」で別に持っています(*1)。
- 乾電池は単3など1種類にそろえる。 ライトごとに電池の大きさが違うと、備蓄の電池が合わない。
- 充電式は、付属の充電器と一緒にしまう。 充電器が見つからない日に、別の充電器で代用しないためです。
ポータブル電源がある家なら、充電式の弱点はかなり埋まります。容量の考え方はポータブル電源は何Wh要るかで扱っています。
夜中の地震は、まず足元から
明かりが要る最初の場面は、たいてい夜中の揺れの直後です。電気が止まり、床に物が散らばっている。その中を、寝室から出口まで歩きます。
内閣府は2017年の世論調査の時点で、照明の備えがある世帯を「約43%と、半数に満たない」と書いていました(*4)。2025年の調査では51.3%です(*2)。伸びてはいますが、まだ半分です。
寝室に置く1個は、手探りで取れる場所に。枕元の近く、ただし上から物が落ちてこない場所です。停電すると自動でつく足元灯と組み合わせる考え方は感震ブレーカーで通電火災を止める、寝室の置き場所は寝室に置いていいもの、置いてはいけないものにまとめています。
買う直前に見る5つ(この順に見る)
売り場や通販のページで、次の順に見てください。
- 何に使う1個か。 歩く(懐中電灯)・部屋を照らす(ランタン)・両手を空ける(ヘッドライト)。役割が決まっていない1個は、たいてい引き出しの奥に消えます。
- 電源は何か。 乾電池式なら電池の種類。充電式なら充電の口と、充電器が付いてくるか。付いてこないなら、どの出力の充電器を使うように書いてあるか(*5)。
- 明るさと点灯時間が、同じモードの数字か。 「最大の明るさ」と「最長の点灯時間」は、別のモードの数字が並んでいることがあります。停電の夜に使うのは、たいてい弱いほうのモードです。そのモードで何時間つくかを見る。
- 置けるか、吊るせるか(ランタン)。 床に置くと、足元の物を照らすだけになりがちです。フックやハンドルがあるか。
- 家族の人数に足りているか(ヘッドライト)。 1人1個が都の目安です(*1)。子どもが使うなら、頭のバンドが調節できるか。
5つ目まで見たら、最後に1つ。買ったら、その日のうちに一度つけてみる。 つかない、電池が合わない、スイッチがわからない、は平時に見つけたほうが安く済みます。
今日やること(3行)
- 家の明かりを、懐中電灯・ランタン・ヘッドライトの3種類に分けて数える。 4人家族なら、都の例の2・3・4と並べる。
- ろうそくを数から外す。 足りない種類が出たら、そこから買う。人数で決まるヘッドライトが先です。
- 全部を一度つけてみて、電池の種類と充電器の置き場所をメモする。
私が千葉県で貸している戸建て3棟の修繕は、この1年で6件。全部、壊れてから業者を呼んだものです。明かりも同じで、要るのは暗くなってからです。暗くなってから探すと、いちばん見つからないものでもあります。
一式をまとめて揃える順番は防災セットは既製品か自作か、停電が長引いた家で何が起きたかは千葉で停電が2週間続いたとき、家で何が止まったかに書いています。
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- LEDランタン(置ける・吊るせるもの)部屋を明るくする役。4人家族3日分の都の例は最低3台=家族が集まる部屋・トイレ・寝る部屋。停電の夜に使う弱いモードで何時間つくかを見る。少なくとも1台は乾電池式に(本文の手順どおり)楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
- ヘッドライト(家族の人数分)両手を空ける役。都の例は1人1個。抱っこ・おむつ替え・付き添いのときに効く。充電式は付属の充電器で充電する(NITEの事故50件のうち41件が充電中)。子どもが使うならバンドの調節幅を確認楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
- 懐中電灯(乾電池式・単3)歩く・探す役。都の例は2灯。電池を単3など1種類にそろえると備蓄が合う。買ったその日に一度点灯し、電池の種類をメモしておく楽天市場で探す Yahoo!ショッピングで探す
出典
- *1 東京都「『日常備蓄』を進めましょう」リーフレット(令和7年10月版)=「夫婦と乳幼児、高齢女性1人の4人家族で戸建て住宅にお住まいの例」「※おおよそ3日程度の目安量」。生活用品の欄に「懐中電灯 2灯」「LED ランタン 最低3台」「ヘッドライト 4個」「乾電池 適宜」「手回し充電式などのラジオ 1台」。https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/kyojyo/1001855/1030036.html (PDF https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/common/bichiku/lief_r7_10.pdf )
- *2 内閣府「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」(令和7年12月24日確報掲載・有効回収数1,707人)=大地震に備えての対策の第1位「停電時に作動する足元灯や懐中電灯などを準備している」51.3%。https://survey.gov-online.go.jp/public_safety/202510/r07/r07-bousai/
- *3 総務省消防庁 消防研究センター「地震後の火災防止について(注意喚起)」(平成28年10月21日)=「明かりや暖をとる目的で、屋内でろうそくなどの裸火は極力使用しないでください」。理由として、物の散乱、避難生活や復旧活動の疲れ、余震のおそれ、着火した場合の避難・消火の困難を挙げる。https://nrifd.fdma.go.jp/news/20161021/20161021.pdf
- *4 内閣府 防災情報のページ「家庭における地震時等の停電対策について」=防災に関する世論調査(平成29年11月調査)で、夜間の地震による停電に備えて足元灯や懐中電灯などを準備している世帯は「約43%と、半数に満たない状態」。火気を使う場合は「転倒時に燃焼を止める機能や、落下物への引火を防げる構造など」を意識して選ぶ。https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/denkikasaitaisaku/teidentaisaku.html
- *5 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「充電器の使い回しで充電式ライトが発火 ~本末転倒な防災準備にならないために~」(2022年8月25日)=対象はリチウムイオン電池を内蔵した携行型のLED投光器・懐中電灯・ヘッドライト・ランタン。2017〜2021年度の事故50件のうち充電中41件・保管中7件。原因の判明した11件のうち7件で付属品と異なる他製品の充電器を使用。事故防止のポイント=付属の充電器(ACアダプター)で充電する/充電中は放置せず近くに可燃物を置かない ほか。https://www.nite.go.jp/data/000139925.pdf /あわせて同「備えただけでは、憂いあり ~ライフライン停止時に活躍する製品で気を付けるポイント~」(2025年8月28日)https://www.nite.go.jp/data/000158855.pdf
- *6 千葉県「令和元年房総半島台風等への対応に関する検証報告書」第3章=停電復旧見込みの発表時系列(9月10日17:00「今夜中に12万軒まで縮小」/9月11日18:30「千葉市エリアは12日、残るエリアは13日以降」/9月13日18:00「地域別に、3日以内、1週間以内、2週間以内」ほか。上陸は9月9日早朝)。当サイト千葉で停電が2週間続いたとき、家で何が止まったかで2026-08-19に確認済みの記載を再掲。
本記事は公的資料の一般的な解説です。必要な明かりの数は、家族構成・間取り・持病や乳幼児の有無で変わります。医療機器の電源が必要な家庭は、かかりつけの医療機関や機器の販売元に停電時の対応を確認してください。